チャップリンを超えたい / 黄帝心仙人氏インタビュー / 3/23-25公演「DANCE DANCE ASIA―Crossing the Movements 東京公演2018」

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チャップリンを超えたい / 黄帝心仙人氏インタビュー / 3/23-25公演「DANCE DANCE ASIA―Crossing the Movements 東京公演2018」

2018-03-20 Category:interview



2018年3月23日〜25日の間に東京芸術劇場シアターイーストにて開催される、「DANCE DANCE ASIA―Crossing the Movements 東京公演2018」。

今回の公演は Vince Mendoza(ヴィンス・メンドーザ / フィリピン)、⻩帝心仙人(こうていせ んにん / 日本)、Hamdi Fabas(ハムディ・ファバス / インドネシア)の 3 氏がそれぞれ振付・ 演出する3作品で構成されたトリプルビルで、日本、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシアから気鋭のダンサーが出演。
この公演にて注目されたのが、宇宙 -Space-の演目において、鈴木おさむ氏が脚本、黄帝心仙人氏が振付・演出を行うという事。

今回、現在リハーサル真っ只中の黄帝心仙人氏へのインタビューを行った。


Q.まずは自己紹介をお願いします。

黄帝心仙人です。
ダンスアーティストとして表に立つ事をメインとして活動してます。
後は、演出、振り付け、インストラクターなどもやっています。


Q.インストラクターとしてはどのようなレッスンをしているんですか?
期間を決めて、一年、二年かけて「プロを育成する」というのをまず一つ掲げてます。
プロレベルの技術を身につける、そういう人を育てるというのを10年くらい前からやってます。
10年前は深夜レッスンというものもなく、しかも5時間という長時間のレッスン(通常のレッスンは1時間〜1時間半くらい)という形でスタートをしました。
そして教科書・DVDを作り、年間プログラムを立てて教えていく、という事を始めました。


Q.この舞台をやる事になったきっかけ
元々、国際交流基金さん、PARCOさんが主催の、DDA(Dance Dance Asia)という東南アジアと日本をストリートダンスで繋げるプロジェクトがあり、インドネシアやマレーシアで行われている、舞台を3組合同で1つの舞台作品として、別々のものをオムニバス的な形で合わせていくという舞台があって、それに呼んで頂いたのがきっかけですね。
それが4年くらい前です。
今回はそれを日本で東南アジアのダンサーを呼んで、日本のダンサーと合わせて作品を作るということになりました。
以前は僕も出演する側でいたんですが、今回は演出と振り付けのみで入らせてもらってます。今回のテーマ自体は宇宙なんですが、当時、自分で宇宙をテーマにムーブをつくったりとか、今までにない宇宙空間(の表現)にはまっている時期にこういう話をいただいたので、それをテーマにしてやろうという事で今回舞台に臨ませてもらうことになりました。


Q.舞台のみどころ
僕自身はアニメーションダンスをメインにやっていますが、その中でもパントマイムを駆使して、物が浮いたり、自分が浮いたりというところを、実際の宇宙とは違うかも知れませんが、「不思議空間を作る」というところに特化してやってます。
今まではそういうものはなかったんじゃないかなと。舞台の上で。だからそういうところをまず見てもらいたいですね。
昔から、空間や時間を操るような踊りをするのがメインで、今回はそれが空間とか時間ではなくて、どっちかというと重力を操る感じです。
無重力空間に近づけたり、重力がおかしくなるっていうそっちのほうに意識を置いてます。

黄帝心仙人チーム

Q.どんな人に見てもらいたいですか?
ダンサーの方に対しても新しいアプローチをしてるので、是非見てもらいたいなと。それと一般の方にもわかるように、ストーリーの軸を作っているので、そういったところもリーチしやすいので、一般の方にも見にきてほしいですね。
あとは脚本が鈴木おさむさんにやっていただいてるので、ストーリー自体もただただ普通にお話しがある訳ではなく、その中にユーモアがあったり、面白みがあったりとか、かなり際どいところも入れたりしてるので、そういった意味で幅広いのでは?と思います。
「際どい」内容は、本番でのお楽しみです笑


Q.鈴木おさむさんとはどんな話をされましたか?
最初に元々「宇宙」というテーマでやりたいということではじめたんですが、通常僕は演出や振り付けなど、全体のダンスの世界観を自分で作って、自分のブレーンの中でやることが多いんですけど、こういった舞台の機会を折角頂いたので、プロの演出・脚本の方の力を借りたいということで、今までにない外部の方、しかも、プロの一流の方にお願いしたいという風に考えて、何人か候補を頂きました。その中で一番まず鈴木おさむさんにお願いしたいと思い、ダメ元でお願いしたところ、快く引き受けて頂いたという形ですね。
そこから宇宙をテーマに一回ブレストをさせてもらい話を広げて、それを一つの軸として脚本に集約していただいて、僕がそれを軸に、壊したりもしながら今作ってるという感じですね。

鈴木おさむ×黄帝心仙人



Q.他二つのパッケージ(Hilatas <君を導く光> | Soul Train)については?
内容はまだ見てないです。あまり影響を受けるのも良くないので。
でも少し話はきいてますよ。
一つはストリートダンスを生かして、ダンスショーをきっちり作ってる。
もう一つはコンテの要素が強く、既に一度やっているのをロングバージョンにしてるので、かなりクオリティは高いと思います。
そして僕らはストーリーメインです。
舞台作品とかやってる人はかなり参考なるのではと思ってます。
僕らは新しい試みをしたいというのがあるので、失敗するときもあれば、全く新しいアプローチで面白いってなるときもあるし、未知数の部分がたくさんありますね。
それぞれ三者三様ですね。

Hamdiチーム、リハーサル風景


vinceチーム、リハーサル風景

Q.クラブとかダンスコンテストとかで踊ることと、今回のような舞台との違い

ストリートダンスも幅が広くて、元々はストリートで、外で、自由に遊びの中から生まれるものであったと思います。その後、ちょっとした照明、空間のあるクラブでも踊るようにもなって、今では舞台作品という形で、ちゃんと照明から機材が揃った状態の舞台になっています。
例えると、

今船で釣ったものをその場で焼いて食べる魚。
家に持ち帰ってさばいて料理をして食べる魚。
空間を演出されたレストランで食べる魚。

それぞれおいしいじゃないですか?
どれにも良さがあって、その中で舞台っていうのは演出・空間作りがあるので、高級レストランでダンスをいただくというような感覚で舞台を捉えてます。

Q.今後のストリートダンスはどんな発展をしていくとおもいますか?
それぞれがそれぞれの発展の仕方をすると思います。
ストリートで踊ってる人は少なくなったかな?と思いますが、公園でやったりとか、外で踊る人たちはそれはそれで続いていくと思います。
一方、スタジオで踊る人は増えてきているし、クラブで踊る醍醐味というのもあります。
でもみんなどんどんちゃんとした作品を作ろうとしてくると思います。
元々はダンスコンテスト、そこからバトルの文化になって発展して、今はナンバー文化が強いかなと。
そしてまた違う方向にいって、舞台作品が増えたりもするかな思います。
なんとなく流行りは移っていくと思いますが、それぞれ全く消えることはなさそうかなと。
あとは、自分がそこに合ってると思う人が残っていくと思います。
自分の生きる場所、満たされる場所がある人はそこに残って、その質をあげていくんじゃないかと。
全部極めれる人はなかなかいないと思うので、自分がどこに行きたいかというところになっていきますかね。
それで一周して、淘汰された時に、また全く違うムーブメントが生まれて新しいものが生まれてくるんじゃないかと思います。



Q.今後の展望
去年からニューヨークにちょこちょこ行ってて、来年あたりから向こうで活動しようと思ってます。
次の目標は映画を作って、アカデミー賞を取る事です。
そのために今動いてる感じですね。
この舞台をやると決めたのもそこにもつながるし、ブロードウェイをこの舞台を持っていきたいなと思っています。
ブロードウェイとなるともっと長尺のもので、どういう作品にするか、というのはありますが、、
ニューヨークと日本半々で、生活をしたいなと考えてます。
アーティストビザを取って、行ったり来たりする感じですね。
チャップリンを超えたいと思ってます。



Q.ENTER THE STAGEの利用者にはバトルイベントに出てる人が多いのですが、何かメッセージなどありますか?
バトルはというと、僕はあんまり出てないんですよね。

一時期自分の中で出たいなと思っていくつか出たんですが、結果が全くでない時もあれば、優勝したりする時もありました。
そういう時期があったんですが、僕の中では自分に合わないと思って、留まることはありませんでした。
ただ、例えば作品となると音楽が決まっていて、それについて何度も何度も繰り返し音楽と付き合って、考えていくことができるんです。
ここには音楽と向き合える自分がいるのですが、バトルはその瞬間流れた音に対して自分が持っているものを音楽から引き出される、そんな感覚でみんな踊ってるんだと思います。
曲が変われば本来はその曲の作り手と自分が持ってるものとのセッションという形で常に奇跡が起こる感じですよね。
舞台はその奇跡を落とし込んで、それをパッケージにして舞台にあげる、という感じなんですよね。
そこで考えると、バトルの人たちも音楽の作り手の世界観をどう自分の中に一瞬で取り込んで作り手のイメージや物語を表現できるか。
音楽が変わっても同じ踊りをする人たちは魅力がないので、そういったところなのかなと思います。
音楽からどう自分が引き出されるか、が重要なのかなと思います。

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10数年前の「無名の心」で活動をしていた頃から、今なおブレず自身のスタイルを追求し、たくさんの現場に落としこんでいる黄帝心仙人氏。
謙虚な中にも、はっきりとした野心を抱いているのが印象的でした。

今回の「DANCE DANCE ASIA―Crossing the Movements 東京公演2018」のパフォーマンスはそれぞれ演出家の持ち味があって、間違なく面白い公演になるとの事で是非足を運んでもらいたい。



2018年3月23日(金)19:00|3月24日(土)13:00/18:00|3月25日(日) 13:00

【会場】
 東京芸術劇場シアターイースト
(東京都豊島区西池袋1-8-1 / JR・東京メトロ・東武東上線・西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。駅地下通路2b出口直結。)

【チケット】
 一般 3,500円(全席指定・税込)
※ご同伴のお子さまの割引販売がございます。(2,000円/3歳以上小学生まで)
学生券 2,500円(全席指定・税込)※大学生・専門学生・中高生の方対象
※当日 入場時に学生証をご提示ください。 
※お一人様につきチケット1枚が必要です。
※3歳未満のお子様のご入場はお断りさせて頂きます。
※営利目的の転売禁止。
※車イスでご来場予定のお客様は、ご購入席番号を公演前日までにパルコステージ宛にご連絡ください。 

チケット取り扱いはこちら

http://dancedanceasia.com/schedule_pt/dda2018march/#ticketservice



【お問い合わせ】
 パルコステージ
03-3477-5858 (月~土 11:00~19:00/日・祝 11:00~15:00)
http://www.parco-play.com/








※ENTER THE STAGEの記事の内容に間違いを発見された方は、恐れ入りますがこちらまでご連絡ください。
訂正を行わせて頂きます。

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